2018/06/09

子供を物やお金で釣る邪悪な方法がときに有効である理由  外発的動機付けから内発的動機付けへの変化








前回子供を褒めて育てることの危険性を述べました。

その理由は、褒めるという外的要因によって、子供が好きで取り組んでいる行為が、徐々に他者の評価を求めるよう動機が変化していき、純粋な喜びや興味を失っていくからです。







では、もしこの作用が可逆反応(逆の反応も起こる)であるならば、子供にとって興味のない行為が、お金や物といった外的要因を加えることで、その行為自体を好きになる変化が起きるはずです。

つまり、外発的動機付けが、外部要因によって内発的動機付けに変質するということであり、この反応が起こりうるかを検証してみました。

ただその前に、夢中になってもらいたいコンテンツを選ばなくてはなりませんが、それこそ千差万別であり、各出版社から発売されている図鑑を見ても、科学・動物・植物・宇宙・乗り物・鉱物など様々な種類があり、動物一つ取ってみても、恐竜・魚・昆虫・鳥・犬・猫と、人間も含めれば細分化することができます。

この中で、何が魅力的なコンテンツなのかは与える側の主観であり、子供自身が面白いと感じるコンテンツも、それこそ個人によって千差万別です。

物理学者のアインシュタインは、5歳の頃に父親から方位磁石(コンパス)を貰い、目に見えない力が自然界に存在することに興味を持ち、その一事が自身の将来を左右することとなりましたが、今回私が子供に選んだのは、戦乱期の歴史漫画でした。

その理由は、この時代の主人公たちが、自らの命を賭けて行動していたからです。

自分の命以上にベットできるものは存在せず、だからこそ戦国時代や幕末が面白いのであり、大河ドラマや歴史小説が一定の支持を得ている理由もそこにあります。

また、普段良い顔をしている人間が、いざとなると他人を裏切ることがあるように、人間の本性は日常では分からず、それを知るのには乱世がうってつけです。

そして、命を賭けた極限の状態だからこそ、その行動や言葉が光芒を放ち、自分がいかに生きていくかの指針にもなるのです。

私は運よく歴史小説が好きになりましたが、学校で教わる社会の授業は、事実の羅列だけで面白くも何ともなく、興味が湧く可能性は低いでしょう。

よって、乱世の人間ドラマから生き死にを学び、また己の実人生に活かしてもらう入口として、歴史マンガに焦点を絞りました。

つまりここで検証することは、子供にとって興味のない歴史マンガというコンテンツに対し、お金・お菓子・褒めるといった外的要因を加えることで接点を持たせ、その面白さに目覚めるかを確かめることであり、さらにはこれをきっかけとして、将来的に、漫画よりも人物の背景や内面が色濃く描き出された時代小説に興味を持ってもらうことを目的としました。

もっとも、初めから歴史マンガに触手を伸ばしてくれれば問題ないのですが、私の子供は「かいけつゾロリ」シリーズに夢中で歴史に一切興味を示さないので、計画を実行しました。

ただ、ここでも歴史マンガには数多くの種類があり、どれを選択するか悩んでしまいます。

凡庸な小説が読者の感興を呼び起こさないように、凡庸な漫画もまた、読者を惹き付けることはできません。

私自身は、今回の検証である、適切な外部要因を加えれば、動機が外から内に変化することを確信していますが、作品のチョイスを間違えば、興味を示さなくなる恐れもあります。

ということで私が厳選した歴史マンガは、横山光輝でした。

横山光輝といえば、歴史マンガの殿堂とも評される「三国志」をはじめ、「徳川家康」や「伊達政宗」、「史記」や「水滸伝」など多くの作品が愛されており、私自身も若い頃夢中になって読みました。

ただし、小学校の低学年生にとって、難しい語句が度々登場し、人を殺すリアルな描写があり、伽をするなどソフトではあるが性的な描写もあるために悪影響が懸念され、多少迷うところもありましたが、振り仮名はしっかりふられており、ものは試しにと決断しました。

よって、まずは私が一番好きな作品である、山岡荘八原作の「伊達政宗」を、お金・物・褒める、で釣る作戦を敢行しました。

はじめは褒める手を使いましたが失敗に終わります。

そもそも1ページすらめくらず、よし30ページ読んだら褒めてやる、などと言ったところで動く気配はありません。

自分の気持ちを大切にするように育ててきたので、褒められることではびくともしません。

その次に考えた手はお金とお菓子ですが、これは勉強をやらせたい親がよく使う手で芸がないので、違う方法を選択しました。

それは、1冊読み終えたら、ゲームの時間を1時間増やしてあげるというものです。

これにはすぐ飛びついてきました。

ただ、30分は動画にしてくれと言うので、それを了承すると、本人は早速読み初めました。

そして、一冊読み終えたところで感想を聞いてみたら、「ゾロリの方が面白い」でした。

本来であれば、さらに継続して検証すべきですが、この時点での私の結論は、横山光輝は小学校低学年では早い、でした。

飛ばし読みをした形跡もあるので、これ以上はやめることにしました。

それこそ、ゾロリを読むことすら、金や物を要求することになりかねないので実験はストップです。

私は学者ではありませんので、このことを検証するために、大々的に実験を行うお金も時間もツテもありませんが、コンテンツが魅力的であれば、動機が外から内に変わる化学反応が大方の人間に起きると考えています。

ですから、今後も良質な小学生向けの歴史小説や漫画が見つかれば試してみる予定です。

また横山光輝に関しては、中学生になったら再び試してみようと思います。

小さなお子さんがいるご家庭は、是非とも、ときに金や物で釣る作戦を試してみてはどうでしょうか。

ただし、これを徒に多用すれば、金や物に左右される大人になる恐れがあり、受験勉強のような面白くないコンテンツに用いると、嫌なことを無理してでも行う大人になる恐れのある諸刃の剣ですので、使用時には注意が必要です。







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