明け方から降り続く雨は、昼過ぎに風の勢いを増し、いつしか暴風雨に変わっていた。
塵芥で薄汚れた二階建ての白壁を、雨は音を立てながら、洗い浚い流していく。
ベッドの上で目を開けた佐藤は、締め切られたカーテンの隙間から洩れ出る薄明かりに覚めやらぬ眼を向けた。風が唸り声を上げ、激しく窓を揺さ振るなか、佐藤は再び目を閉じると、まどろみに身を委ねていった。
仕事を終え昼前に帰宅し、倒れるように眠りに付いてから、どれほどの時間が経過したのだろうか。ようやく目を覚ました佐藤は、眼前に広がる室内の闇に目を向けた。
佐藤のその大柄な体躯は、深くベッドマットに沈み込んでいる。
しばらくして目が慣れてくると、薄闇の先に天井が翳み、知覚した一月の冷気が肌を引き締める。ベッドに横たわりながら聞こえてくる雨音は、落ち着きを取り戻していた。
佐藤はベッドから起き上がると、部屋の明かりを点けた。
周りを取り囲む白色のクロスと共に、散らかる衣類やゴミが浮かび上がる。
周りを取り囲む白色のクロスと共に、散らかる衣類やゴミが浮かび上がる。
その床を踏み分けてキッチンに向かい、ヤカンを手に取って水栓を開く。シンクにはいつのものか分からないカップメンの空き容器が積まれている。充分な水を入れ終え、ヤカンを火に掛けると、立ったままキッチンに腰を凭れ掛けた。
しばらくしてお湯が沸き、火を止める。用意したマグカップにコーヒーの顆粒を入れ、熱湯を注ぎ込むと、香りと共に湯気が立ち昇る。
佐藤は猫背の背を丸め、その場で飲み始めた。
温かいものが全身に行き渡り、二口、三口と続ける。すべてを飲み干して身体がほぐれてくると、本日の夕食を購入するため、外出する支度を始めた。
床に放置された黒のダウンジャケットを、浅黒い無骨な手が拾い上げる。ジャケットが大柄な体躯に収まると、佐藤はのそりのそりと玄関に向かった。
スニーカーを履き、立て掛けた傘を手に取ると、一〇六号室の扉を開けた。頭上の庇には、どんよりとした黄疸の明かりが灯り、冷たい色をしたコンクリートの通路を照らしている。
佐藤は鍵を閉めると、細長い通路を入口門扉まで歩いていく。
庇から落ちる雨垂れが、通路脇の茶褐色した地表を穿っている。
やがて門扉まで辿り着くと、佐藤は傘を広げた。
外は小雨に変わっていた。
佐藤は門扉を開けて道路に出ると、スーパーに向けて歩き始めた。
佐藤は鍵を閉めると、細長い通路を入口門扉まで歩いていく。
庇から落ちる雨垂れが、通路脇の茶褐色した地表を穿っている。
やがて門扉まで辿り着くと、佐藤は傘を広げた。
外は小雨に変わっていた。
佐藤は門扉を開けて道路に出ると、スーパーに向けて歩き始めた。