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2017/06/15

言葉の恐ろしい一面が垣間見られる短編小説「アウルクリーク橋の出来事」を解説します 






古い木造の橋のシルエット

シルエットACより



「アウルクリーク橋の出来事」とは、アメリカの作家であるアンブローズ・ビアスが著した、傑作と名高い短編小説です。

短編小説というと、手品のトリックのような手法を用いることが多々あるようです。






イギリスの作家ロアルド・ダールなどが、短編小説で巧みなマジックを使うテクニシャンとして知られています。

なぜ短編がテクニックに走りがちになるかですが、それは本文が短いために、大きなテーマを表出することが難しいからでしょう。

一方の長編小説は、その長さゆえに、様々な具体的事例を描写することができ、その具体からテーマという1つの抽象に収斂させることで、科学的な真理を発見するような帰納的な過程を演出し、美を出現させることができます。

またその逆もしかりで、題名という抽象から、具体的な本文を表していく演繹的な過程は、真理という美を証明するアプローチでもあります。

では、短編である本作は、どのようなものかを説明します。

前述したように、本作も短編の1つの特徴であるトリックが使われており、それが実に鮮やかな手法で読者を唸らせます。

そして、その本文の短さゆえに、俳句のようにキリリと引き締まり、余韻を残します。


ここからは少しネタバレになる可能性がありますので、本作を読んだ方のみお読みください。

作者のアンブローズ・ビアスが生きた時代は19世紀後半で、当時アメリカで勃発した南北戦争にビアスは従軍しており、そのときの悲惨な体験を契機に死に関心を寄せるようになり、執拗に死にまつわる小説を執筆するようになったと言われています。

そのビアスといえば、世間を冷笑するような言葉が並ぶ「悪魔の辞典」で有名です。

冷めた目で社会を突き放す言葉群は、時代背景を抜きに語ることはできず、短編小説「アウルクリーク橋の出来事」もまた、ビアスの根底にあると思われるペシミズムが潜んでいます。

私は本作を読み終えたとき、魂をなぶられたような気持ちになり、著者の経験したであろう深い絶望を垣間見ました。

心が不安定な人は読むべき小説ではなく、少年少女にもおすすめできない小説ですが、その絶望を乗り越え、明日の希望へと転換させることはできるはずです。

なぜなら、当ブログで述べているように、絶望と希望、死と生は一如(一体)であり、死を体感することで、生に輝きを与えることができるはずだからです。


本作で主人公に感情移入し、その死を強烈に体感し、今この世に生きていることを実感し、それを糧にする事ができれば、より良い明日へときっと繋がっていくはずです。














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