2017/01/31

不器用でも信念を持つ者を本物の人間と言う  シルベスター・スタローン主演のおすすめ映画「ロッキー(Rocky)」








Wikimedia Commonsより
著作権表示なしのパブリックドメイン


熱くなれる映画の代表格である「ロッキー」の主演はシルヴェスター・スタローンであり、脚本を書いたのもスタローンです。

そう、この作品の筋書はスタローンが考え、それにしたがって主役を演じたのもスタローンであり、そのいきさつは以下の通りです。





当時の世に出る前のスタローンは、無名役者で極貧生活を送っていました。

映画のオーディションには落ち続け、仕方なくポルノ映画に出演して日銭を稼ぐ、そんなやさぐれた日々を送っていました。

そんなある日、スタローンはボクシングの世界ベビー級タイトルマッチをテレビで観戦します。

30歳の時です。

その試合は、世界最強の男モハメドアリ対チャックウェプナーとの試合でした。

世界ランキング外のボクサーであった
ウェプナーは、ボクシングだけでは生計を立てられず、酒屋でセールスをしているような男でした。

要するに咬ませ犬であり、チャンピオンの骨休めのために用意されたボクサーでした。

そんなうだつの上がらないボクサーとチャンピオンの試合は大方の予想通り、チャンピオンの優勢で進みました。

それでもウェプナーは必死にもがき、チャンピオン食らい付きます。


そして9回、チャンピオンからダウンを奪います。


まさかの展開である。


焦りを感じたチャンピオンは猛反撃に出て、再度劣勢に立たされたウェプナーは、何度か倒れそうになるものの辛うじて15回の最終ラウンドまで戦い抜きます。

試合結果はチャンピオンが判定で勝利しました、終始劣勢に立たされながらも諦めずに向かっていくウェプナーに惜しみ無い賛辞が送られ、感動したものも大勢いました。

スタローンはこの試合を見て、勇気付けられました。

うだつの上がらない男でもやれば出来るんだと。

そしてそれは、ウエプナーの姿をスタローン自身の境遇に重ね合わせ、自らを奮い立たせることでもありました。


スタローンはこの新鮮な感動に突き動かされ、映画の脚本を書き始めます。

ストーリーは、うだつの上がらないチンピラボクサーが最強のチャンピオンと戦う話である。

チンピラボクサーのあだ名はイタリアンスタリオン・イタリアの種馬。


スタローン自身であった。

制作は3日3晩寝ずに続き、出来上がった脚本を映画制作会社へと持ち込むと大いに評価され、脚本には7万5千ドルという破格の値がつけられました。

ただしそれには条件がありました。

主役のボクサーを、当時の一流俳優であるポールニューマンやアルパチーノ、ロバートレッドフォードらに任せるというものでした。

お金のないスタローンにとって、高額の脚本料は魅力でした。

しかし、スタローンは首を縦に振りませんでした。



「主演はあくまでも俺だ」


と言い張ったのです。

その後もスタローンと制作会社との交渉は続き、脚本料はあれよあれよと高騰しました。

それでもスタローンは高額の脚本料には目もくれず、主役を演じるのは俺だと言い続けました。


信念を持つ男は、金なんぞになびきません。

普通の人間であれば、間違いなくここで金を受け取り、 今後脚本家として生きていく選択肢を考えたり、主演は次回作でもいいかと思うでしょう。

ましてや金に困っている状況であれば、尚のことでしょう。

それでもスタローンは首を縦に振らず、主演を張ることに、こだわりました。

結局制作会社が最終的に折れ、スタローンが主演をやることになったものの、脚本料は一気に2万ドルにまで下げられ、出演料も最低補償金額となりました。

いくら脚本が面白くとも、無名の役者が主演を張るとなれば、誰も売れるとは思わなかったのです。

スタローン自身も、売れるとは思っていなかったでしょう。

とにかく、売れようが売れまいが関係ない。演技が上手かろうが下手だろうが関係ない。

この作品の主役は俺が演じきり、世に問うのだ。

そういう純粋な熱意に突き動かされ、映画ロッキーは撮影され、完成しました。

上映後の結果はご覧の通り、全米の興行収入は1億ドルを突破しアカデミー作品賞を獲得しました。


なぜこれほどまで人々に支持されたのか。

それは、作品にぶつけられたスタローンの情熱が、観るものの心を揺さぶるからです。。

本作におけるスタローンの演技は、お世辞にも上手いとは言えません。

というよりも、むしろ大根役者です。

しかし、いやだからこそ、スタローンの煮え滾るエンスージアズムが、際立って画面から放たれているのです。

私は、ロッキーを見てパンチを繰り出さない男は、娘との結婚をお断りしてほしいと勝手に思っています。

そんな鈍い男は、いざというときに家族を守れないと思うのです。


ビル・コンティによるテーマ曲「Gonna Fly Now」も、熱くなれること請け合いです。








観たことのない方はぜひどうぞ。







参考文献
炎の男スタローン―アメリカン・ヒーロー・ナウ 講談社 ジェフ ロビン 高沢 明良





0 件のコメント:

コメントを投稿